糸作りのこと

エップヤーン有限会社という会社で社長業をやっております。

業務内容は主にニットセーター用の糸の企画・製造・販売。アパレルメーカーさんに糸を販売してます。

会社の場所は東大阪市。中小零細企業の集まるものづくりの町として、知っている人は知っている町です。

東大阪商工会議所の人にうかがってみても東大阪市には繊維業というか糸の製造業者さんは少ないらしく、なんとなくガラパゴス諸島的な、いわゆる陸の孤島にいるような気持ちで日々糸を作っております。

さて、タイトルにも書きました糸作りのことですが、糸を作るというのはどういうことなのか。

哲学的な話じゃないです、工程の話です。

綿や麻、ウールなんかの天然繊維の多くは短繊維と呼ばれるワタ状の繊維として収穫されるので、それを絡ませて引っ張って伸ばして撚りをかけて一本の長い糸にするのが紡績。

紡績で作られる糸は基本的には単糸(たんし)と呼ばれます。

この糸を2本以上合わせて撚りをかけるのが撚糸。同じ糸を2本撚ったものは双糸(そうし)、3本撚ったものは三子(みこ)と呼びます。

双糸と双糸をさらに撚り合わせたりもします。他にも、綿とウールを撚り合わせたりウールとラメ糸を撚り合わせたり。そうやって作った糸に再び別の糸を撚り合わせたり。

この撚糸という工程のバリエーションはかなり豊富なので、ここがある意味糸屋さんの仕事のしどころでもあったりします。

そして染色。読んで字のごとく、染めて色をつける。

アパレルメーカーさんの希望する色に染めたり、自社で在庫しているものは自分たちで色を決めて染めたり。色というのはファッションにとってデザインと同じかそれ以上に大事な要素なので、この工程もまた糸屋さんのセンスやら知識やらが試されるところであったりします。

この紡績、撚糸、染色が主な糸作りの工程になります。(細かい話をするともっと色んな工程がありますが、それはまたいつか別の機会に。。。)

3つの工程のうち、紡績と染色には非常に大規模な設備が必要なので、その2つの工程については各メーカーさんにお願いして加工してもらってまして、当社では主に撚糸の工程で新たな商品作りに励んでます。

自社に何台か撚糸機を所有しておりまして、何か良いアイデアを思いつくたびに試作して、失敗したらまた作り直してを繰り返します。自信作が出来たらお客さんのところに持っていって見てもらう。でもすぐには気に入ってもらえなかったりするので、また作り直して良いのが出来たなと思ったらまた持っていく。

そうやって行くうちにようやくお客さんにも気に入ってもらえるような素敵な糸が出来上がるわけで、これがすなわち当社のお仕事であります。

つまり、「エップヤーン有限会社は創意工夫を重ねて素敵なニット糸を作っている会社ですよ」ということですね。

初めてのブログ記事なので、まずは自己紹介的なお話でした。

“糸作りのこと” への2件の返信

コメントを残す