無印良品が枚方市駅のデザインまで手がけるらしいですね。アイデアの飛躍がどんどん楽しさを生むようで、勉強になります。

先日のブログで八尾西武百貨店跡地に入ったLINOASの無印良品のリニューアルが良かった云々ということを書きました。

どうやらその無印良品の運営会社である株式会社良品計画が、大阪府枚方市の京阪電鉄「枚方市駅」をデザインするようです。
http://www.asahi.com/articles/ASKC753LVKC7PLFA006.html
(朝日新聞デジタル)

良品計画は最近この手の手法でアパレルや雑貨の小売の枠を越えて、もっと大きなプロダクションでブランドのPRを行っています。

2019年には有楽町にホテルをオープンする予定らしく、客室内の家具やカーテンやシャンプーなどを全部無印良品のグッズでそろえて、宿泊客がその品物を気に入ったら別フロアで営業する店舗で全て購入可能だということです。
https://www.buzzfeed.com/jp/yuikashima/mujihotel?utm_term=.hvADBoyB5#.fbGpLOdLG
(バズフィード)

元々無印良品の家という商品名で一戸建ての家をデザインから建築の施工まで請け負う事業も展開しているので、そこからどんどんと規模を拡大している感じですね。

前回のブログで書いたことですが、LINOASの店舗には売り場の各コーナーに本棚が設置されていて、食器のコーナーには料理本があり、料理本の横には調理器具の本が、その横にはキッチンの収納や片付けのマニュアル本、その隣にはキッチンリフォームの本があってその横に家のリフォームの本がある。

ひとつのテーマに沿ってそこから連想される別ジャンルの本を数珠繋ぎに並べていく手法で、どんどんと客の興味を引き起こしていくというやり方はとても興味深いです。

昨今のマーケティングではモノではなくコトや体験を売るということが大事とされます。

このLINOASの売り場では雑貨や洋服などにまつわる本を同じスペースに置くことで、店の滞在時間を延ばして結果的に客単価を引き上げる手法がとられています。

一戸建て住宅では無印が理想とするライフスタイルを提案する、ホテルでは生活必需品を全て無印にするとどうなるのかというテーマパーク的な提案、駅のデザインとなるともはや街の一部が無印になると市民生活にどう影響が出るのかという臨床試験に近い提案ですね。

ここまで来るとこの先に展開しそうなことを色々と予想してしまいます。

例えば京阪電車の車両のプロデュース任されてみたり、国内のLCCなんかが機内のデザインを良品計画に一任するかもしれません。

もしくは過疎化の進む地方の役所とか寂れた温泉旅館が町おこしを兼ねて全て良品計画プロデュースになったり。スーパー銭湯なんかもコンセプトが合いそうですね。

有楽町のホテルは海外からのインバウンド需要に対するPRを主な目的としているらしいので、航空機のインテリアや機内食を全て無印にするというのは関連性が高くてよいかもしれません。

いずれにしても、アパレルや生活雑貨から端を発してそこから広がるイメージをどんどん拡大させていくこのブランド戦略は非常に興味深いです。

我々のような中小零細企業がこれをこのまままねることは当然出来ないことですが、こういったアイデアの飛躍による事業の拡大からは学ぶべきことが多いと思います。

糸屋がTシャツまで作るという程度の展開はアイデアの飛躍とは呼ばないでしょう。

もっと斬新な展開を考えなければいけません。

例えばTシャツを最高のコンディションで洗濯できるTシャツ専用洗濯機とか。

洗濯機が出来るのならその洗濯機で古くなったTシャツを染め替えて別の色に出来る機能をつけるとか。

そこで染め直したTシャツを商品として販売できるチャンネルをつくるとか。

まだまだ普通ですね。

洗濯機に染め替えの機能を持たせられるんなら、コインランドリーの一角に設置して古くなったシャツの色替えが出来ますよというサービスも出来るでしょう。

そうなると真っ白なシャツをそこで販売して、その場で好きな色に染めて持って帰れますよということもできるかもしれません。

それならスニーカーを染めたりセーターを染めたりも出来るかも。

そもそもコインランドリーにTシャツやパンツや靴下の自販機なんかを置いたら便利なような気がします。

まだ飛躍が足りないように思いますが、色々と考えるのは楽しいですね。

でもこの手のアイデアで気をつけなくてはいけないのは、そもそもそんなニーズあるのかい?ということです。

あれもこれもと自由な発想で考えていくと、必ずどこかでごく少数向けのニッチなサービスに向かっていく枝の穂先の部分が発生してきます。

もっと言えば最初のアイデアの時点でほとんどニーズが無いところから始まってしまうケースも多々あります。

我々のように狭い業界で製造業をやっていると、とかく考え方やアイデアの幅が狭くなりがちです。そして往々にして自分たちの狭い了見で一生懸命考えたアイデアが目新しく斬新なものであると錯覚しがちです。

無印良品のお店で展開されている洋服コーナーに本棚を置くという手法、本棚のジャンルを数珠繋ぎにしていくという手法は恐らくそのあたりをよくよく練って考えられたアイデアなんだと思います。

服や雑貨を買いにきた人には他に何を楽しんでもらいたいか、買い物をもっと楽しくするのに何の要素が不足しているかを考えたのだと思います。

私たちは今のところまだ単なる糸屋です。

それがTシャツを作り始めました。

ここにどんなものを足し算していくのか、どう飛躍していくのか。

実現できるかどうかも分からないような壮大なことまで想像し考えていくことはとても楽しいことです。

狭い視野にとらわれず、新しくてかつ必要なアイデアを発想できるようにもっと色んなジャンルを見て学んでいかなければいけませんね。

コメントを残す