先日スレッズにも同じテーマで書いたのですが、リネン潤紡糸が日本国内にどれだけ入ってきているのか気になって調べてみました。
2025年の統計データはまだ11月分までしか出ていなかったので、その前年である2024年の輸入量を見たところ年間617トンで金額に直すと18億8800万円でした。
ここから10年さかのぼって2014年のデータを見ると輸入量が1452トンで金額は18億2647万円でした。
2014年時点ですでに日本国内に潤紡の設備はないので、上記の数量が日本国内に流通しているリネン糸のすべてだと考えてほぼ差し支えないと思います。
恐ろしいデータですね。
10年で57%も減ってます。
2024年の輸入量が少ないのは2023年のEU北部における天候不順によって原料であるフラックスの収穫量が著しく少なかったことにも起因しているのですが、それにしても減りすぎている。
それに対してなぜか金額は増えている。
輸入金額を輸入量で割り返して1kg当たりの平均単価を計算すると、2014年が約1,260円/kgなのに対して2024年は3,060円/kgと、2.4倍にまで値上がりしています。
海外メーカーは輸出量が減った分単価を上げて取引総額を維持しているわけですね。
これを仕入れている立場の我々糸屋はというと、もちろん販売価格を上げてますが正直なところ利益率は下がってます。
過去10年間でリネンの原料コストだけでなく撚糸・染色の加工コストや流通コストなどが一様に値上がりしていて、それらすべてを販売価格に転嫁できているかというとなかなかそうもいかず、じりじりと利益率が下がっているのが実情です。
コスト上昇を価格に転嫁できていないのはブランド力が足りないからだとか、そもそもブランディングに投資していないからだといわれることもあり、この辺りは我々も大いに反省すべきだと感じています。
その一方で、リネンが高いならポリエステルリネンやコットンリネンなどの混紡糸に変えてしまおうという客先や、そもそもリネンを使うのをやめてしまう客先も多いためなかなか値上げしきれないというのもあります。
競合相手が中国やイタリアのリネン糸ならまだ日本製のブランド力などが有効になることもありますが、ポリエステルなどの安価な素材と競合してしまうとどうやっても太刀打ちできません。
われわれが取り扱っているリネンという素材はある面においては贅沢品で、言い方を変えればなくても困らないものだったりします。
けれども天然繊維の中では圧倒的に吸水性と速乾性に優れていて水を含むと強度を増すので洗濯にも強いという性能もあり、生活を快適にする素材という点で必要な人にとっては暮らしになくてはならないものでもあります。
フラックスの作付面積や単位面積当たりの収穫量などのデータを見る限り、おそらく原料の輸入価格が下がることはしばらくはないと思われます。
そんな中でどうやってリネン素材を販売していくか、必要な人たちに届けていくかということについていろいろと考えていかなければいけません。
