本藍染Tシャツを発売しました!江戸時代から伝わる「天然灰汁発酵建てによる本藍染」という技術で染めた逸品です。

天然の蓼(たで)藍から抽出した染液を使って染める本藍染のTシャツを発売いたしました。

まずはご覧ください。

今回はHOFI-021 オーガニック超長綿タック襟TシャツHOFI-027 [ SHIRO-T ] reboot vintage code.01の2本番をそれぞれ濃淡2色ずつ染めました。

どちらも非常に深みがあって美しい青に染まっています。

今回のTシャツは阿波藍で知られる徳島県の本藍染矢野工場の「矢野 藍秀」氏に染めていただきました。

そして矢野さんの工房で使われている藍の原料は国選定 阿波藍製造無形文化財や国指定 卓越技術者として認定を受けている現代の名工 佐藤阿波藍製造所の19代目藍師 佐藤昭人氏が製造する「すくも」を使用しています。

藍を栽培して「すくも」を作るのが藍師、そしてその「すくも」から染液を作って染めるのが藍染師。

本藍染はいわばこの藍師と藍染師がそろって初めて完成する技術です。

ところで、そもそも藍染とはなんなのか。

藍染(あいぞめ)は言い換えるとインディゴ染めのことで、インディゴという青い色素を持つ植物から抽出した染液を使う染色技法のことです。

実はインディゴの色素を持つ植物は色々とあって、日本ではタデ科の植物を用いますが、インドではマメ科の植物を用いたりヨーロッパではアブラナ科の植物を用いたりと、原料となる植物は様々です。

古くは紀元前までさかのぼって世界の様々な地域で行われてきましたが、1800年代の後半に化学薬品を配合して作られる合成インディゴが発明されて以降、現在のインディゴ染めはにほぼ合成インディゴが使用されています。

インディゴという色素は水に溶けにくいので、本藍染では菌やバクテリアの力でインディゴをインディゴ白という物質に還元してから繊維に定着させた後、空気に触れさせることでインディゴ白を参加させて再びインディゴにもどすことで青を発色させるという方法を取ります。

簡単に言うと、

水に溶けにくいインディゴ色素を還元させて水溶性にして繊維に付着させ、その後酸化させて青に発色させる

という工程になります。

「菌やバクテリアによってインディゴを還元して」というのを一言で書きましたが、本藍染ではこの工程に100日程度の期間を要し、その間温度や湿度などを一定に保つ必要があって、実際はとても手間暇のかかる工程です。

なおかつ、そうやって作った「すくも」をもとに天然の灰汁を使用して染液を作り生地を1枚ずつ手作業で染めるため、本藍染の製品が出来上がるまでには長い期間と手間が必要になります。

それに対して合成インディゴは科学的に短時間かつ大量にこの還元されたインディゴ染料の製造を行うことができ、染色工程も一度に大量に行うことができるため世の中のインディゴ染めにはほぼ合成インディゴが用いられているわけです。

しかし我々は今回、古来から伝わる伝統的な本藍染の技法で染めてもらうことにしました。

受け継がれてきた技法と伝統を世に残すことに微力ながらお役に立ちたいという思いがあったからです。

私たちは着心地が良く、丈夫で長持ちするTシャツを作ることができます。

それを本藍染で染めてもらうということで本藍染の服を長く愛用してもらうことができると考えました。

合成インディゴに対して圧倒的に手間暇のかかる本藍染はその分高価になります。

これをTシャツにして例えば1万円台で販売しようとすると、本体のTシャツの製造コストをかなり抑えなければいけません。

とくに本藍染の加工料は染める生地の重量に対して計算されるので、出来るだけ薄くて軽いTシャツにしなければ染め加工賃を安くすることができません。

その結果、本藍染を謳うTシャツには薄い生地を使用したものが多いです。

生地が薄くても着心地に問題がなければよいのだとは思いますが、残念ながら薄い生地では強度は出ません。

その結果、せっかく本藍染で染めたTシャツもすぐに伸びてヘタって着られなくなってしまいます。

これでは本藍染を長く愛用してもらうことはできません。

それに対してうちのTシャツであればかなりの期間着てもらえると考えました。

伝統の技術を残すということは、その技術で作られたものを使い役立てるということにほかなりません。

出来上がったものが超高級品になってしまって普段使いできないと、結局お蔵入りと同じことになってしまいます。

技法や製法がデジタル情報として文字や映像に保存されているだけで「残している」とか「受け継いでいる」というのはなおさら違うでしょう。

なので、この美しい青を生み出す技術を世に役立てるのに、うちのTシャツが少しでもお役に立てるのではないかと考えた次第です。

とても簡単にいいますと、

「せっかく最高に美しい青なんだから、ガンガン着てなんぼでしょ」

ということですね。

そんなわけで、素材屋が糸から作ったTシャツを本藍染で染め上げた最高美しい「青T」です。

ぜひ皆さまにカッコよく着こなしていただければと思います。

よろしくお願いします。

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