ちょっとご縁があって大学生の方々とファッションについて語り合う座談会に参加してまいりました。

つい先日、東大阪市のとある大学にて学生さんとの座談会がありました。

こちらの大学には地元の中小企業と大学生がコラボするための施設があり、そこには3Dプリンターやレーザー加工機など、学生さんたちがモノづくりを体験できるよう各種設備も豊富に揃っています。

その施設のスタッフさんから「学生たちと何かの課題を共有した取り組みができないか」とお声がけいただいたので「売れ残っているTシャツの面白い活用方法を一緒に考えたい」とお伝えしたところ、多くの学生さんが集まってくれて座談会が催されたというわけです。

結果的に本来のテーマ「残ったTシャツの活用法」についてアイデアはほとんど出なかったのですが、今の学生さんたちがどういう媒体から洋服の情報を得ているのか、何を基準にモノを選んでいるのかということをたくさん聞かせていただいてとても興味深かったです。

私にとって一番面白かったのは、ほとんどの人がファッションや服装について興味があると言いつつ受動的にしか情報をとっていないということでした。

自分から欲しい服を探してインスタグラムやウェブサイトを調べるということは少なく、TIKTOKやPINTERESTなどでたまたま見かけたかわいい服が気になったら調べて買うというような話でした。

これはおそらく学生さんだけの話ではなくて、自分の世代(私は先月48歳になりました)にも同じことが言えるのかなと。

「洋服が好きで好きなブランドの最新情報を頻繁にチェックしている」なんて人は非常に少なく、たまたま何かで見かけて「ちょっと気になる」というところからスタートするのかなと。

そしてその「ちょっと気になる」ものを1回タップしてみたら購入できるサイトに飛べて、そこからさらに1~2タップで買えたりすると購入に繋がりやすく、それ以上だとめんどくさくなって買うのをやめる人が多いのかなという気がします。

アパレルブランドの人たちは自分自身がファッション大好き人間だったりするので、定期的に服屋さんを覗いたりネットで調べたりするようですが、アパレル業界以外だと服に興味がない人が大半なんだろうなと思います。

この業界で働いている服を作っている割と多くの人がこのズレについて甘い認識でいるのではないか。。。というか「みんななんだかんだで服が好きなはず」と勘違いしている人が多いのではないかと感じるのですが、それについてアパレルの人たちとじっくりしゃべたこともないので何とも言えません。

そしてもう一つ面白かったのが、ファッション産業について学ぶための学内団体というのがあるらしく、そこに所属しているファッションが大好きな学生さんとの話でした。

その学生さんに「あなたのチームではファッション産業のどういった課題について学んでいるんですか?」と質問したところ、「自然環境に対する問題とファッション産業に従事する人たちの労働環境についてテーマにすることが多いです」との答えでした。

私の印象としては「テーマが大きすぎる。。。」でした。

この手の話題になると過剰在庫による廃棄の問題やら発展途上国での低賃金な服作りやらのオチが議論する前からチラッと見えてしまうので、私はこの手の話が出たらものすごい勢いで話を変えるか早めに結論っぽいことを言って話題を終わらせるかしています。

テーマを大きくしすぎると最大公約数的な解決法しか選べなくなるし、具体的に今すぐ何をすべきかという話になりにくく、議論の後に実際に何か取り組みを始める人があまり出てこないように思います。

要するに参加するプレイヤーが多すぎて他人任せになってしまうのかなと。

その場で司会の方に「ではエップヤーンさんが考えるファッション産業の課題とは何ですか?」と聞かれたので「日本国内についてはとりあえず高齢化です。製糸業や紡織業に従事する現場の年齢層が70代中心になってます。普通に考えても15年たったら全員辞めてます」と答えました。

これについて学生さんたちは「まさかそんなことになっているなんて。。。」というようなリアクションでした。

私たちにしてみれば頻繁にその話題になるんですが、ファッション産業について学んでいる学生さんはそのことを全く知らなかったらしいです。

学生さんの研究課題として、世界では、欧米では、アジアでは、、、と議論はされますが、愛知県では、奈良県ではというような話題にはならないようですね。

今現場で何が起こっているのか、ということを議論するほうがもっと面白いのになと感じました。

高齢者の方々が従事している産業の問題は「年金でそこそこ食べられているから本業の採算が合っていなくても続けられてしまう」という点にあると思います。

撚糸業としては月々15万くらいの稼ぎだけれど年金で毎月20万もらっているから十分生活できる、というような個人運営の小規模工場がめちゃくちゃ多く、それらの人たちが辞めてしまうときに後を継ぐ人たちがいないというわけです。

そりゃそうです。

15万じゃ結婚して子育てしてなんてなかなか難しい。

例えば1日200kg程度を加工する工場の場合、1か月25日の稼働で毎月5トンの糸を加工していることになります。

1kg当たりの加工賃が200円だとすると月の売上が100万円で、そこに電気代や段ボール代、機械のメンテナンス料やガソリン代、荷物の運賃などが月々50万ほどかかると残るのは50万円。

その工場を社長一人とパートの人2~3人で回していて実際の手取りがそれぞれ10~15万円、なんていうケースが多いのではないでしょうか。

けれどみんな年金をもらっているからちゃんと生活はできている。

そういった工場さんはもはや儲かるかどうかではなく「続けられるうちは続けていく」というスタンスなので、機械が壊れたからやめるとか病気になったからやめるというような理由でどんどんと閉業されていってます。

この流れに歯止めをかけるのはかなり難しいです。

しかし、現実がそうなので学生さんたちに一度そのことを知ってもらい、自分がその仕事に就きたいかどうか、はたまた強制的にその仕事に就いた場合にどういうイノベーションがありうるのか、というようなテーマで議論してもらえたら面白いんじゃないかと思います。

「もし宝くじで5億円当たったらどうする?」というのの逆パターンですね。笑

議論なんて仮定の話でいくらでもできるし、斬新なアイデアはやっぱり若い人から出てくるものだとも思いますので。

ということで、

大学生さんたちとの座談会は私にとって非常に興味深いものでしたし、改めていろんなことを考える良い機会になりましたよ、という話でした。

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