ゆったりした着心地でリラックス気分を楽しめる、コーヒーの出涸らしで染めたナチュラルテイストのTシャツを試作してます!

東大阪繊維研究所の店舗から車で10分ほど、同じく東大阪市の石切という町に福井プレスさんという会社がありまして、こちらでは衣類の「製品染め」をされております。

わざわざ「製品染め」という言葉があるからには「製品じゃない染め」もあります。

私たちが着ている衣類の多くは糸を織るか編むかして生地にしたものを縫製して作られています。(セーターなど横編みのニットはちょっと違いますが、その話はここでは割愛します)

最初の糸の段階で染めるのが「糸染め」、生地にしてから染めるのが「生地染め」、服になってから染めるのが「製品染め」という風に呼び方が替わります。

それぞれのやり方にメリットとデメリットがあります。

糸で染めておけばチェックやボーダーなど柄のある生地を作ることができる反面、色によって糸が残るいわゆる生産ロスが多くなります。

たとえばボーダー柄を作るのに白と青が50キロずつ必要だとして、実際に50kgずつ原料を投入して染めても白50kg、青49kgのように出来上がることが多く、そうなると白が1kg残ってしまいこの分が生産ロスとなります。

その点、先に生成りの生地を作って後から生地染めすると糸のロスは出にくくなります。

しかしこの場合染められるのは基本的に単一色だけになり柄物が出来ません。

また生地染めは基本的に大規模設備なので、まとまった量で染めることでロットが安定したりコストが下がったりする分、細かい追加生産などが出来にくかったりします。

それに対して生成りの製品を作っておいて最後に染めると小ロットで様々なバリエーションに対応することが出来ます。

たとえばネット販売など実店舗を持たずに服を売る場合、各サイズ各色を何枚かだけ染めてオンラインストアに掲載し、売れ行きの良い色やサイズをどんどん追加で染めていくというようなやり方が出来ます。

ただし、製品染めの場合ジッパーやボタンなどの付いた衣類だとその部品への色移りや破損を考慮する必要があったり、ロットが細かくなる分色合わせや風合い合わせが大変だったりといったデメリットもあります。

そんなわけで、アパレルメーカーさんでは生産枚数や企画内容に合わせてそのつど染め方を選びながら服を作っています。

前置きが長くなってしまいましたが、福井プレスさんでは一般的なアパレル製品の染色だけでなく、コーヒーの出涸らしを再利用して布を染めるという取り組みにも力を入れておられます。

コーヒーの出涸らしから色を抽出し金属で媒染して服を染めるという方法で、染色後に残る出涸らしを使ってキノコを育てるキットまで作っておられて、キノコを収穫した後に残る出涸らしはそのまま土に還せます。

いわゆる循環型のモノづくりですね。

このコーヒー染めの技術で東大阪繊維研究所のTシャツを染めてもらおう!という企画を昨年末から始めていて、ようやく最初のサンプルが1枚が出来上がってきました。

こんな感じです。

どうですか?なかなか落ち着いた良い色に仕上がっているでしょう?今回はアルミ媒染で薄めカーキ色に染めてもらいました。

コーヒー染めにはもう一つ鉄媒染のほんのりオリーブがかったカラーがあります。

上が鉄、下がアルミによる媒染のカラー。

このTシャツ、冗談抜きで着るときにほんのり香ばしい匂いがします。

コーヒーの香りが衣類に残ることは福井プレスの福井社長から事前に伺っていたので、せっかくならと今回はリラックス感を取り入れたデザインにしてみました。

ややゆったり目の身幅、少し落とし気味の肩、超長綿を使った普段よりも少し薄手(といっても7オンス)の生地といったあたりがリラックス感。

けれども部屋着みたいなユルさを出したくないので、襟元にはセーターを思わせるような編み柄をワンポイントに入れて、胸元には切り替えを入れることであくまでもアウターとしてのTシャツの存在感も出してあります。

胸に切り替えを入れるついでに左胸に隠しポケットも付けてみました。

1stサンプルの出来は上々で、本生産に向けて少しの修正だけで済みそうです。

これから1stサンプルの着用テストをしつつ、各サイズのサンプルを作成します。

その時に鉄媒染の染めもテストして、諸々確認が出来たら本生産に移行します。

出来上がりは7月中旬くらいかな。。。という感じです。

またこのブログでも進捗をご報告いたします!

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