道具の手入れのこと

エップヤーン有限会社をはじめて間もないころ、毎日ほとんど仕事もなく昼からは大工仕事のようなことをやってました。会社で使う本棚を造ったり、古い機械にペンキを塗ってみたり。

ある日使っていたカンナの刃が刃こぼれしているのに気がつき刃研ぎのお店をネットで探していると、会社のすぐ近所に刃物屋さんがあることが分かりすぐに持っていくことにしました。

お店に到着すると奥さんが店先にいてカンナを受け取ってくれて、店の奥にいた刃研ぎの職人さんであるご主人に手渡してくれました。しばらくすると、それを受け取ったご主人そのカンナを持って店先にきて「なんやお兄ちゃん、職人やったら自分の道具くらい自分で手入れせんかい」と突っ返してきました。

たまたま待っている間に奥さんと世間話をしていて、このカンナは趣味の日曜大工で使っているものだと話していたので、奥さんがあわてて「お父さん違うよ!この人は素人さんよ!」と説明してくれました。

ご主人もそれを聞いて、「あぁそうですか、そしたらすぐやります、明日にでも取りに来てください」とのご返事。

このことがあったずいぶん後、今度は仕事で使っていた握りバサミの切れが悪くなって、さぁどうしたものかと悩みましたが、自分も糸作りの職人といえば職人なので自分で研ぐことに。
早速砥石を買ってきてハサミ屋さんに研ぎ方を教わりに行って、ネットで刃研ぎの動画を見て何度も練習しているうちに何回目かでコツをつかんで、今では1本10分もあれば研げるになりました。

その後この刃物屋さんには手入れの難しい裁断バサミの研ぎを定期的にお願いすることになりましたが、切れ味抜群になって帰ってきたハサミを使うたび毎度のように感心させられました。

そのハサミ屋さんのご主人が数年前に亡くなられてしまったので今は天満にあるハサミ屋さんに研ぎをお願いしています。

出来れば裁断バサミも自分で研げるようになりたいと一番安いハサミで練習していますが、こればっかりは素人が独学で身につけた程度の技術ではなかなかうまくはいかないものですね。

当面のところは糸作りの修行の方に精進いたします。

コメントを残す