生地の試作の現場。物が形を変えていく様子を見ているだけでワクワクします。

東大阪繊維研究所のTシャツ作りは糸作りからスタートします。

糸は主に当社社内の設備で加工して仕上げます。色々なアイデアを出して工夫を凝らして、これだ!と思う糸を完成させます。

そうやって出来上がった糸を生地にするのがニッターさん。

ニットする人=ニッターさんで、糸を生地に編みたてる工場さんのことを指しています。

一般的に生地には織物と編み物がありまして、鶴の恩返しで鶴が夜な夜な作っている生地が織物。縦に何百本も、物によっては何千本もの糸を並べて、横向きの糸を縦糸の間に通しながら生地に織り込んでいくというのが基本的なやり方です。

それに対して針を使って一目一目編んで作るのが編み物で、Tシャツは基本的には編み物で出来ています。

編み物にも色々とありまして、鈎針や棒針なんかで編む手編みもあれば、横編みといわれるセーターの機械編みもあります。

Tシャツ用の生地を編むのは丸編みという機械で、その名の通り丸い筒の形状をしています。

直径26インチとか30インチとか、とにかく大きな円筒の周囲ぐるりに針があって、一回転で一気に何十段も編んで行きます。

一気に沢山の糸を針にかけて一斉に編むので非常に効率が良い反面、セッティングを少しでもミスすると一気に大量の不良品が出来てしまうので機械の調整はとても繊細に行う必要があります。

編地の厚さや柔らかさを調整するために編み目の詰め具合、いわゆる度目(どもく)を調整していきます。機械が大きいのでこれが中々大変な作業です。

生地の風合いのちょっとした変化が着心地に大きく影響するので、ここで妥協はしたくない。

けれども目の前で機械を調整してくれている職人さんの手間を見ると、あまりすき放題にわがままも言いにくい。

なので、極力最初から狙いをしっかり定めてイメージやニュアンスを出来るだけ詳しく伝える必要があり、いざ現場で作業が始まったら度目調整の判断も必要以上にあーだこーだといわず、こうして欲しい!というポイントを絞って指示する必要があります。

少し編んだらカットして、現場で水洗いして乾かして、良さそうなら何メートルか編んで。必要であれば別バージョンを少し編んで洗って乾かしてまた何メートルか編む。

出来のいいTシャツを作るには出来のいい生地が必要で、そのためにはそれに適した糸が必要なので、糸作りも生地作りも常に真剣勝負です。

とくに現場でいざ編みたて始めるよというこの瞬間は気合が入りますし、ちょっと緊張します。つまりは身が引き締まります。

イメージ通りのものを作るために、素材のことや糸作りのこと、生地の編み方や編み機のことについても自分自身が色々と知っていなければいけませんし、現場でスムーズに作業するための入念な準備や作業してもらう人への的確な指示が必要です。

そして当然ながら編みたてる職人さんの技術や経験を必要とします。

そういったものがうまく噛み合って自分のイメージ通りのものが出来た!となったときの感動はひとしおです。

もちろんその反対のパターンもありますが。。。

ともかく!

こうやって現場に入って職人さんたちとみんなで創意工夫しながらものを仕上げていく瞬間がたまらなく楽しいですし、機械に糸がかかって生地に生まれ変わっていく瞬間を見ると毎回感動します。

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