猛暑ですね。
みなさま体調など崩されていませんでしょうか?
うちの工場も時間帯によっては45℃を超える日があり、いよいよ大きめの空調設備を導入すべく準備を始めています。
さて、
今年に入ってまたリネン糸の価格が高騰しています。
2年前に暴騰ともいえる値上がりをしたリネン糸ですが、その反動もあってか昨年は少しだけ値下がりしました。
ところが今年に入ってまたじわじわと値上がりしていて、今年後半にかけてはいよいよ2年前の最高値を超える価格になると予想されています。
日本麻紡績協会が公開している輸入統計によると、今年の1月から5月までに日本に入ってきた亜麻単糸の総量は244,784kgで金額ベースでは708,912,000円でした。
これは1kgあたり約2,896円の計算になります。
昨年の年間累計は721,526kgで金額ベース1,779,414,000円なので、1kgあたり約2,466円。
つまり今年の価格は昨年に対してすでに17%ほど値上がりしています。
ちなみに2年前の1年間の累計が619,856kgで金額ベース1,899,071,000円なので、1kg当たり約3,064円。
今年後半にはこの水準に近づいてくると予想されています。
原料の値上がりに加えて、最低賃金の上昇による加工賃の値上がりや、各地の戦争の影響による輸送コストの上昇もあり、最終的な加工糸はかなり高価になっています。
そんな中、多くの客先でリネン素材の使用を見直す動きがあって、リネン混紡糸にしてみたり、異素材との複合糸に置き換えるパターンや、そもそもリネンの使用をやめるところも出てきています。
ところが、一部のアイテムを混紡や複合素材に変更した客先と話していると、結果的に単価が高くてもリネン100%のアイテムの方が売れ行きが良かったということをよく聞きます。
コットンをコットンポリエステルに変えたり、ウールをウールアクリルに変えたものが定着するパターンは割と多いのですが、リネンはその限りではないようです。
考えてみるとリネン糸はかなり特殊です。
素材そのものに含まれている糊成分を水で柔らかくしておいて繊維をコーティングするとい潤紡(ウェットスピニング)という工程が特殊。
その結果糸表面の毛羽が抑えられてつるんとした光沢があるのも特殊。
糊付けされることによるシャリっとした肌触りも特殊。
糊でコーティングされることである程度糸の強度が出るため、糸に太い所や細い所やネップなどがあっても紡績されてしまうという点も特殊。
こんな特徴的な素材なので、他のものとブレンドすると途端に個性が薄れてしまうのです。
混率にもよりますが、コットン100%の生地とコットンポリエステル混紡の生地はプロの糸屋でも意外と見分けがつきにくく、アクリルウールについても同じことが言えます。
ところがリネンの場合、綿紡績の設備でコットンとブレンドしてしまうと糊でコーティングして光沢を出すこともできないし、糸は均一に仕上がってしまってムラやネップが消えてしまいます。
複合撚糸についても同じで、リネン100%の糸とコットン100%の糸を撚糸で合わせると、はっきりと光沢は減りますし、かなり柔らかな肌触りになります。
シャリシャリとした肌触りなら強撚糸や樹脂加工糸、ボルテックスなどの設備で紡績した糸でも得られますが、天然の糊付け状態になっているリネンとはやはり違う。
光沢のある糸ならシルクやシルケットコットンや合成繊維にもありますが、糸が凸凹してネップだらけなのに艶があるのはリネンだけ。
なにせ他の素材で似たものがない。
つまりは置き換えができない。
なのでリネンの製品が好きです!という人にとって、他の素材が混ざってくると途端に「これじゃないんだよなぁ。。。」という拒否反応が出るのですね。
価格は高騰していてなかなか手が出にくくなっているリネン糸ですが、それでも他に替えが利かないこのリネン。
世の中のリネンを愛してくれる消費者の方々のためにも、アパレルの人には100%で使うことをあきらめないで欲しいし、我々もリネン100%を選んでもらえるようにより一層魅力的なリネン糸をご提供していかなければいけないということですね。

