本のタイトル通り、これを読むと心に灯がつきます。

仕事と子育てに追われる日々とはいえ、本を読む時間だけは出来るだけ確保するようにしています。
どんな本にも一箇所は必ず「この発想はなかったな!」とか「こんな言い方があるのか!」と感動する部分があって、そういう一文に出会うだけで少し見識が広がったような気持ちになれるからです。
なかでも花森安治さんの「灯をともす言葉」は折にふれて読み返す大事な本で、全部丸暗記したいくらいに思っています。
暮らしのこと、政治のこと、芸術のこと、様々なジャンルについて花森さんの考えが短く簡潔な文章でまとめられていて、そのどれもが鮮烈で力強い。

 

花森さんの生没年は1911年~1978年なので、この本で述べられている言葉も戦時中から戦後の日本についてのことが中心です。

けれども、まるで現代社会を見ながら書いておられるのかと思うくらい今の日本に必要な言葉が並んでいます。

以下、点線で囲っている箇所が引用部分です。

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このごろ、おもうことは、
明治以来、日本の新聞が、
この社会に果たしてきた役割の
プラスとマイナスを、このへんで、
一度決算表にしてみたら、ということである。
いろんなプラス、いろんなマイナスが、
山のように積重ねられるにちがいないが、
それを整理していったら、
最後の答えは、
プラスと出るだろうか、
それとも、
マイナスとでるだろうか。
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とか、

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いまの世の中では、
政治家というものは、
なにか立派なことを
してみせなくてもいい。
バカなことさえ、
してくれなければいいのだ。
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なんてのもあります。

他にも「装うということについて」という章にはこんなのもあります。

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つらいだろうが、以下の四行を、
何ども読み返しなさい。
ズボンが似合わない、
と言うひとに限って、
言っちゃわるいけど、
スカートも、決して似合っていない。
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社会風刺の精神や反骨精神なんかをユーモアのある言葉で簡潔に表現されていてどれも面白いです。

それ以外にも戦争のことや芸術のことなども多く取り上げられています。

どの文章も基本的に庶民の暮らしを大切にするという視点から述べられていて、それは生涯かけて編集者としてつづり続けた「暮らしの手帖」という雑誌の根幹を支えるものでもありました。

ものづくりを生業にする私にとっての金言はこれです。

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これからの不景気を
切りぬけたかったら、
ほんとに親切な品を
作ることだけを考えなさい。
そういう商品だけが、
過去の不景気を
切り抜けてきたのだから。
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コロナ禍において何を作るべきかと迷う自分の道しるべにもなっています。

他にも、こんなのがあります。

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学校へゆくことが
リクツをおぼえることであり、
そのリクツは、
自分のやったことの
責任をのがれるために
使われるのだったら、
学校など、
ゆかなくてもいいのです。
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どこか優しさもあって花森さんの人柄が感じられる言葉です。

花森安治さん以外に私がときどき読み返すもので岡本太郎さんや白洲次郎さんの本があります。

どの人たちにも背中に一本太い芯が通った力強くてまっすぐな思想があって、読むたびに身が引き締まる思いになります。

歴史のなかで多くの文筆家たちが言葉の持つ力を示してきました。

本を読むことで、まだ知らない言葉や思想にいくらでも出会えると考えるだけでワクワクします。

だから、時間に追われて疲れきったときこそ無理やりにでも本を読む時間を確保して、言葉の力を借りて自分に活を入れなおすようにしています。

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